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応用情報技術者試験 合格体験記

今回はIPA が実施している応用情報技術者試験について、受験から合格までの学習方法や試験の形式などについて説明します。

応用情報技術者試験とは

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:応用情報技術者試験

応用情報技術者試験とは、IPAが実施している情報処理技術者試験の1つです。IPAの公式ページでは以下の人材を対象者としています。

高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者

ITSSのキャリアフレームワークではミドルレベルのレベル3に位置する資格であり、主にITエンジニアの中でも中級者向けの資格として位置づけられています。特に基本情報処理技術者試験合格後の次のステップ、中級くらいのITエンジニアの知識の証明、ITに関するマネジメントやストラテジの知識の証明等として取得される方が多いです。

出題範囲はテクノロジ、マネジメント、ストラテジと大きく分類され、その中でもハードウェアからソフトウェア、インフラ、プロジェクトマネジメント、ストラテジ等と幅広く出題されます。

試験は午前試験と午後試験に分かれており、午前試験は用語や計算問題等の知識を問われる内容で、午後試験は必須分野を含む複数の分野を選択し、問題文のケースに対し応用的な知識を問われる内容となります。午前試験、午後試験の両方で60点以上取れば合格となります。

応用情報技術者試験の受験料は7500円となります。ベンダー試験と比較すると多少お安めです。

試験の難易度、合格率

応用情報技術者試験の難易度は、IPAの高度情報処理技術者試験を受験する前の登竜門として位置づけられており、幅広い分野の知識や応用的な能力を求められます。特に午後試験においては、問題文の読解能力や応用的な回答を求められるため、ある程度勉強しないと合格できない試験となっています。

応用情報技術者試験の合格率は毎年20%前後です。令和3年・秋試験の合格率は23%とのことです。

令和3年度秋期情報処理技術者試験 合格者数

管理人は令和3年・春試験で一度不合格となっており、今回の令和3年・秋試験の2回目で合格しました。1回目の試験で合格する方もいれば、複数回受験して合格する方もいます。

勉強期間

勉強期間は受験者の知識や経験によって変化しますが、約2~4ヶ月程度を見込んでおくと良いです。基本情報処理技術者試験合格直後で知識が残っている、実務経験が多く実務ベースで応用的な知識・技能を持っている、午後試験において複数の分野に強みを持っている方であれば、もう少し短い期間でも問題ないかと思います。

利用した参考書・サイト

参考書

基本的な知識取得として、応用情報技術者試験で有名な合格教本を使用しました。ページ数が多く読むのは大変ですが、基本的な知識の取得にはこちらの書籍で十分です。

翔泳社から出版されている高度情報処理技術者試験の参考書も一部使用しました。問題の解き方については、応用情報技術者試験の参考書より詳しく記載されているため、勉強法や問題の解き方を勉強するには良いです。勉強法や解き方だけ知りたい、という方は高度情報処理技術者試験の中古書籍でもある程度はカバーできるため、中古書籍で代用するのもありです。また、応用情報技術者試験合格後に高度情報処理技術者試験の受験を検討している場合は、特定の分野だけ早めに勉強しておくのも一つの手です。

サイト

Webサイトは応用情報技術者試験の過去問道場を使用しました。午前試験、午後試験両方の解説が充実しているため、実践形式で過去問を解くには良いサイトです。

午前試験の勉強法

勉強法

勉強法としては、初めに参考書を一通り読み、試験でどのような内容が問われるのか、どういった用語が問われるかを把握します。一周目で参考書の内容を全て覚えるのは難しいため、概要を把握する程度にしておきます。

参考書を一通り読んだ後から午前試験の過去問を解き始めます。サイトに掲載している過去問道場で1年分(80問)を解いてみて、間違えた問題は解説をしっかり読み、正解した問題は他の選択肢が何故間違いなのかを確認します。一通り解いてみると、自身の得意分野や苦手分野が見えてくるため、苦手な分野は参考書を見返してみる、解説をしっかり読み込む等で少しずつ知識を固めていきます。

計算問題については、解き方を理解するようにします。試験では電卓は使用できないため、計算スピードの向上や定着のために紙に書いて計算するようにします。暗算でも良いですが、凡ミス等を減らすために可能な限り書いて解くことを推奨します。どうしても計算問題が苦手、というのであれば以下のような書籍もあるため、必要に応じて使用すると良いです。

また最近の午前試験では、参考書に掲載されていない最新のトレンドや技術も出題されるため、このあたりも押さえておきます。ITのニュースを読む、必要に応じて技術書を読む等で幅広いジャンルの知識を押さえておきます。

試験までに上記内容を繰り返し勉強することで、午前試験の合格ラインは突破できるかと思います。

過去問だけやれば大丈夫?

ネット上の合格体験記や勉強法で午前試験は過去問を周回していれば大丈夫、との内容もありますが、この勉強法は個人的に推奨しません。理由としては以下の内容があります。

  • 過去に出題されたことのない問題に対応できなくなる
  • 午後試験の用語、知識問題で躓くリスクがある

応用情報技術者試験の午前問題は過去試験で一度出題された問題がそのまま出題されることも多く、過去問を周回するのは一つの手です。ただ、令和3年・秋試験では過去試験からそのまま出題された割合が若干減った印象があるため、過去問だけに頼りすぎるのは少しリスクがあります。

また、午後試験でも午前試験の範囲の用語や知識が選択問題や記述形式で問われます。よほど実務経験が豊富であればともかく、基礎の内容を押さえていないと用語等の細かい問題を落とすリスクがあるため、過去問だけやるのは推奨しません。

午後試験 各分野の特徴

午後試験は必須分野のセキュリティを含め、複数の分野から4つ選択する形式となっています。個人的な各分野の特徴は以下の通りとなります。

セキュリティ

  • 午後試験の必須分野。
  • 用語、選択、記述問題が中心、計算問題はほとんど無い。
  • 必須科目のためか他の分野と比較して基本的な内容が多く、若干難易度は低めな印象。
  • 令和3年・秋試験の出題でシステム等以外の物理セキュリティも出題されることを確認。

経営戦略/戦略立案・コンサルティング

  • 用語、選択、記述問題が中心、たまに計算問題も出題される。
  • 出題範囲は広めだが、管理・経営、ビジネス寄りの知識等がある人は解きやすい。
  • 技術要素が問われることは少ないが、読解・記述ができないと少々厳しい。
  • 最近の出題傾向ではテレワーク、DX等、トレンドが取り入れられてる印象。

アルゴリズム

  • アルゴリズム、計算、用語等を答える問題が中心。
  • 記述問題が少なく記述による点数のブレを回避できるため、確実に点数を取りたい人向け。
  • たまに最新技術や難しい内容等が出題されるため、ある程度アルゴリズムや処理を考えるのに自信がないと厳しい。

システムアーキテクチャ

  • 用語、選択、記述、計算問題とまんべんなく出題される。
  • 計算問題は決まった式を使う問題が多めなため、やり方を覚えてしまえば解きやすい。
  • システム寄りの開発・インフラに携わっていればとっつきやすい。

ネットワーク

  • 用語、図の穴埋め、記述問題が中心、たまに計算問題が出題される。
  • 穴埋め系は決まった答えを書く問題が多いため、記述問題の点数ブレは少なめ。
  • ネットワーク寄りのインフラや他分野のインフラに携わっている人であればとっつきやすい。
  • 分野によって得意・不得意がある場合は、点数がブレることがあるため注意が必要。

データベース

  • 穴埋め、SQL文作成、記述問題、図の作成が中心。
  • 決まった答えを書く問題が多いため、記述問題の点数ブレは少なめ。
  • 設計寄りかSQL寄りになるかで難易度が変わる印象。
  • 基本情報処理のデータベースより難易度は高いため、ある程度実務で扱っていないと厳しい。

組込みシステム開発

  • 用語、選択、記述、計算問題とまんべんなく出題される。
  • 組込みとあるが、開発に携わっている人であればとっつきやすい内容が多め。
  • 用語、計算と決まった答えを書く問題がそこそこあるため点数のブレは少なめ。
  • 記述は問題文抜き出しより応用的なことを聞かれる内容が多め。

情報システム開発

  • 用語、選択、記述、計算が中心、たまに図を書く問題が出題される。
  • 試験によって設計・開発から、アジャイル等の手法と幅広く出題される。
  • 開発関連の内容が多いため、開発に携わっている人であればとっつきやすい。
  • 図の穴埋め等、部分点をもらえない問題も多めなため、確実に拾えないと点数を落とす可能性がある。

プロジェクトマネジメント

  • 用語、選択、記述、計算とまんべんなく出題される。
  • 基本的に開発寄り、記述問題が多く理由や対策の回答が多め。
  • 問題文が長め、記述問題が多めのため、読解スピード、文章作成スピードが無いと時間がカツカツになる。
  • 分野によって得意・不得意がある場合は、点数がブレることがあるため注意が必要。

ITサービスマネジメント

  • 用語、選択、記述問題が中心、たまに計算問題が出題される。
  • ITILや運用周りを知っているととっつきやすい。
  • 問題文が長め、記述問題が多めのため、読解スピード、文章作成スピードが無いと時間がカツカツになりやすい。
  • 分野によって得意・不得意がある場合は、点数がブレることがあるため注意が必要。

システム監査

  • 用語、記述問題が中心。
  • 難しい技術要素を問われることは少なめだが、読解・記述ができないと少々厳しい。
  • 問題文から答えを探す問題が多く、読解力に自信がある人なら点数を稼ぎやすい。
  • 決まった解答が多く、部分点を取りにくい印象。確実に拾えないと点数を落とす可能性がある。

午後試験 分野の選択

午後試験の分野はどれを選択すれば良いか?については「受験者の知識・スキルに応じて変化するため一概には言えない」が答えになります。そのため、「記述・読解寄り」「技術・計算寄り」で分類します。必須のセキュリティについては除外します。

記述・読解寄り

  • 経営戦略/戦略立案・コンサルティング
  • プロジェクトマネジメント
  • ITサービスマネジメント
  • システム監査

技術寄り

  • アルゴリズム
  • システムアーキテクチャ
  • ネットワーク
  • データベース
  • 組込みシステム開発
  • 情報システム開発

午後試験 勉強法

午後試験の全ての分野を対策するのは膨大な時間がかかるため、初めにセキュリティを入れたメインの分野を5つ、サブの分野を1つか2つ決めます。メインの分野のみを勉強すると、試験本番で難しい問題を引いて解けなかった、苦手な分野に偏ってしまった、等で点数を落とすリスクがあるため、最低でもサブの分野を1つか2つ持っておくと良いです。どの分野にすれば良いかに悩む場合は、過去問をいくつかを解いてみて行けそうな分野を選ぶでも良いかと思います。

分野が決まったら、過去問のサイトを使い午後試験をネットと紙に印刷した状態で解いてみます。初めはじっくり問題を解いても良いですが、各分野2、3ほど解いたところで、時間を意識しながら解いていきます。応用情報技術者試験の午後試験は合計で2時間半のため、単純に等分すると1分野30分程度の時間になります。試験本番では時間配分を間違えると、全ての解答を書ききれなかったり、焦って基礎的な問題を落とす恐れもあるため、勉強の段階で時間配分を身に着けておくと良いです。また、試験本番は過去問道場のようにタイピングや文字数の表示はなく、解答用紙に書く方式のため、紙に書いて解くやり方に慣れておくことも大事です。

午後試験の用語問題は午前試験の範囲の知識が問われることが多いため、午前試験の勉強をしっかり行っていればある程度は問題なく拾うことができるかと思います。選択問題や記述については、問題の答えを覚えるのではなく、問題文のどの部分を抜き出しているのか、どこにヒントがあるのか、ヒントからどのようなことが導き出せるのかを解説を読み込みやり方を身につけていきます。

問題の読解については、問題文を読む際に気になる箇所や必要な箇所に下線(マーカー)を書き込む方法を取ると良いです。試験時間は限られているため、設問からどの部分を見ればよいかの目印を付けておかないと、何度も読み直すことになり時間のロスとなってしまいます。参考サイトに記載しているサイトでは、過去問を解く際にマーカーを引くことができるため、実際にマーカーを引きながら問題を解くようにすると良いです。

午後試験は応用的な知識や対処を求められるため、問題を解く以外に日々の業務経験やこういったケースにはどのように対応すれば良いか?を意識しながら勉強していくと、様々な問題のケースに対応できるので、過去問に出題された内容だけでなく、様々なケースを見て勉強することが大事です。

試験当日

10月10日(日)に池袋の某所で受験しました。当日は電車の遅延(運転見合わせ)等を考慮し、会場の30分前には近くに到着しカフェで時間をつぶしていました。都心等は近くに時間を潰す場所がありますが、会場によっては周辺に時間を潰す場所がない場合もあるため、事前に周辺を調査しておくと良いかと思います。

試験会場は6階で大学や専門学校の小~中程度の部屋でした。同じ階にトイレが無かったのが少々不満でしたが、それ以外は普通の会場という印象でした。試験時間が近くなると注意事項の説明、問題用紙・解答用紙の配布が始まりました。午前試験開始前ですが、ちらほら席が空いていたと思います。

午前試験は分からない問題や時間のかかりそうな問題は一旦飛ばし、一通り最後まで解いた後に飛ばした問題を回答していきました。問題内容は、過去に一度出題されたことのある問題が全く同じ内容で出題される問題、最近のトレンドの技術を答える問題、今回の試験で新しく出題された問題とありました。全体的な傾向としては、令和3年・春試験と比較すると一度出題されたことのある問題の割合が若干減った印象で、参考書以外の基本的な知識や最新のトレンドもある程度押さえていないと6割がちょっと厳しくなるくらいと感じました。午前試験は90分程度で全ての問題を終えて退出しました。ちゃんと勉強している人であれば、試験時間ギリギリまでかからず早めに終了するかと思います。

午後試験は最初に問題内容をざっと確認し、以下の分野を選択しました。

  • セキュリティ(必須)
  • 経営戦略/戦略立案・コンサルティング
  • プロジェクトマネジメント
  • ITサービスマネジメント
  • システム監査

必須科目のセキュリティがシステムのセキュリティではなく物理セキュリティと少し変化球な出題でした。この手の分野は過去試験で出題されたことがなかったため、人によってはかなり難しく感じる内容と思いました。ストラテジについてはマーケティングの基本的な部分やSNSに関する内容を押さえられていれば大丈夫だったと思います。プロジェクトマネジメントは応用情報で初めてのアジャイルを取り入れており、若干システム開発寄りの内容だと感じました。ITサービスマネジメントは変更管理に関する内容で、捻った内容の問題は無く基本的なところを問われた問題だったと感じました。システム監査は過去試験同様に問題文をちゃんと読み込めばある程度拾える感じでした。試験時間は1分野30分で解き、2時間半ギリギリまで使いました。

自己採点結果

午前試験、午後試験の自己採点結果は以下となります。午後試験については、TACの解答速報を緩めに採点した結果となります。

午前試験

80問中55問正解

午後試験

68点

午前試験は当日の夜にはIPA公式の解答が公表されるため、6割半(52問)以上正解できていれば安全県内かと思います。IPAの試験は配点が公表されていないため、6割ギリギリだともしかしたら配点の関係で不合格の可能性もあるのかもしれません。

午後試験については、資格試験のスクールで有名なTACが3日後くらいに解答速報を出してくれるため、気になる方は採点してみると良いです。TACの解答も精度は高めですが、IPA公式の解答ではないことや記述問題の点数ブレもあるため、自己採点結果から前後10点程度を見込んでおくと良いです。個人的には、TACの解答で70点を超えていれば合格圏内に入っている気がします。

試験結果

管理人の令和3年・秋の応用情報技術者試験の結果は以下となります。

午前得点

68.75点

午後得点

66.00点

午前試験、午後試験共に60点以上のため合格となります。午後試験は自己採点から-2点となりましたが、自己採点結果から大幅にブレることはありませんでした。

試験の振り返り・今後について

1回目の応用情報技術者試験は、午後試験対策をうまくできなかったことが原因で不合格となりましたが、2回目は少し対策を変えて勉強したところ何とか合格となりました。勉強期間が長めだったため、モチベーションの維持が難しかったりしますが、ITに関する幅広い知識の取得には役立ったかと思います。

応用情報技術者試験に合格したことで、一定期間高度情報処理技術者試験の午前Iの試験が免除となるため、高度情報処理技術者試験は受験するかどうか悩みます。業務の関係上、受験するとしたらITサービスマネージャーあたりになるかと思います。

これから応用情報技術者試験を受験される方にこの内容が参考となれば幸いです。